●街道説明(GEMINIより)
東京都調布市北部を東西に横断する「佐須街道(さずかいどう)」は、地域の暮らしを支える生活道路であると同時に、古代から江戸時代に至る豊かな歴史を今に伝える貴重な古道です。
起源は古代にさかのぼり、武蔵国国府(現在の府中市)と周辺地域を結ぶ重要な交通網の一角を担っていたと考えられています。江戸時代に入ると、甲州街道を通る旅人たちが関東屈指の古刹である深大寺へ参拝するための「参詣道(深大寺道)」として広く利用されるようになりました。柴崎の旧甲州街道との分岐点には、当時の旅人の道標となった「深大寺案内地蔵(道標地蔵)」が現在も遺されており、かつて多くの人々が行き交った往時のにぎわいを現代に物語っています。
現在の佐須街道は、調布市菊野台・柴崎周辺を東端とし、深大寺元町の御塔坂交差点付近を西端とする約3kmの区間を指します。武蔵野の旧道ならではの緩やかな蛇行を描くルート沿いには、歴史的な社寺や豊かな自然が点在しています。街道沿いには、奈良時代の創建と伝わる「虎狛神社」や、深大寺開山ゆかりの「祇園寺」など古厳な史跡が佇みます。また、この佐須エリアは国分寺崖線からの豊富な湧水に恵まれた地域でもあり、野川や清らかな用水路、代々続く農家の屋敷林や広大な畑が広がっています。
佐須街道は、都市化が進む東京近郊にあって昔ながらののどかな武蔵野の面影を色濃く残している道です。大規模な幹線道路とは異なる穏やかな情緒があり、歴史散策や街歩きのコースとしても高い魅力を放っています。